活動写真・映画全盛の大正から昭和初期、
映画館が二つもあった立門前通りは、
川越で一番の繁華街でした。
その後テレビの時代に入ると映画館は役目を終え、
立門前通りも昭和後期から平成と、
昔を懐かしむ街並みに…
そんな立門前通りが令和の時代に、
商店街・川越市・近隣の皆様と共に、
再び活気を取り戻そうと奮闘中です。
そんな立門前商栄会の歴史と近年の取り組みに、
少しお付き合い頂けたらと思います。
環境
立門前通りは、西武・本川越駅から北へ0.7
km、JR・東武東上線川越駅より同じく北へ1.5㎞の位置にある、
連雀町と松江町にまたがった東西延長220mの商店街です。
名前に『門前』が付く通り、蓮馨寺の門前商店街であり、
蓮馨寺が『川越七福神めぐり』の第5番福禄寿神(ふくろくじゅじん)となっており、
立門前通りがそっくり第4番恵比須天(成田山)からのルートに指定されています。
かつては、明治43年建築の『旧川越織物市場』もこの通りに面し、
『川越唐桟織(かわごえとうざん)』などの流通の拠点でもありました。
商店街には、昭和初期に建てられた店舗兼住宅の『看板建築』が多く残り、
大正浪漫夢通り角の昭和5年建築の『大野屋洋品店』は、和瓦葺の半切妻屋根に、
洋風の棟飾りをのせた独特の洋風建築です。
さらに、川越街道との角にある明治時代建築の『銘菓芋十』(都市景観重要建築物)は、
一階の矩折れ庇(かねおれひさし)が特徴の町家です。
このような懐かしさを感じる明治から昭和初期の街並みが、『立門前通り』です。
成り立ち
前述の通り、「立門前通りの歴史は『蓮馨寺』と共にある。」
と言っても過言ではありません。
『蓮馨寺』は、戦国時代の天文十八年(1549年)後北条家の重臣で川越城の城主『大道寺正繁』の母、
蓮馨大姉の願いをうけて創建され、
正繁の甥にあたる『感誉上人』を招いて第一世としました。
江戸時代には僧侶の養成所でもある
『檀林蓮馨寺』となり蓮馨寺の門前では川越城主でさえ、
馬や籠から降りるほどの格式のあるお寺でした。
『呑龍堂』には、本尊に『阿弥陀如来坐像(市指定文化財)』と、
貧しい子供を手厚く保護したとされる『呑龍上人像』が祀られており、
近年では、毎月8日『子育て呑龍デー』として、
露天・フリマ・バザーといったイベントで賑わっています。
また、『川越七福神めぐり』第五番『福禄寿』の御利益は、幸福・高禄・長寿となっています。
そんな蓮馨寺の門前にあり、明治時代に「蓮馨寺の辰巳(東南)の方向にある門前通り」として
『辰門前通り』と名付けられ、それが『竪門前通り(たつもんぜんどおり)』となり、
いつからか『立門前通り』となったという由緒がある通りです。
川越の校歌によく登場する郷土をあらわす語に『武蔵野』があります。
川越及び周辺地域の歴史書の『武蔵三芳野名勝図会』には、
川越が武蔵野の境であることを示す『榎』が、
ここ立門前通りに立っていたと記されています。
取り組みと未来
川越市が東京のベットタウンとして、あるいは観光地としてメディアに注目される中、
駅前の繁華街と蔵の街並の観光地の間に位置する『立門前通り』としては、
商店主達と蓮馨寺の『民』、市役所の『官』が協力し、様々なチャレンジを始めています。
最初に『街路灯のLED化』と『道路の美装化』があります。
路地のような印象の強かった通りが、
華やかな通りに生まれ変わりました。
次に老朽化した『旧鶴川座』と『旧織物市場』の活用です。
かつて、蓮馨寺の境内には、『松蓮座』という芝居小屋があり、
明治26年の大火での焼失のため、明治31年(1898)『鶴川座』が建てられ市民に親しまれました。
大正時代に活動写真、昭和時代に映画館、平成に入り映画館は閉館したものの、
ライブ会場や特撮ヒーロードラマや映画のロケ地として親しまれた『旧鶴川座』が、
平成最後の年にその役目を終えて、『HatagoCOEDOYA』という昭和モダンなホテルになり、
その1階には南側の『熊野神社』へと通じる『縁結び横丁』という飲食スペースへと生まれ変わりました。
立門前通りの東側に位置する『旧織物市場』は、全国から若手アーティストやクリエイターが創作支援を受けながら、
制作活動を行う施設として、現在整備中です。
商店街としては、
「しゃべりにおいでよ立門前~ほっと一息くつろぎ通り~」をスローガンに、
『一店舗、一新商品』の作成、商店についてのアンケートの実施、『案内マップ』の制作を行ってまいりました。
令和2年に入ってからも、ホームページの開設、
インスタ部の承認、コロナ対策イベント『ほっと一息くつろぎ市』の開催、
年中行事としての『夜市』の計画など、今まで以上に地元の皆様に親しみやすい商店街を目指して、活動中です。
そんな、『立門前通り』の挑戦もまだまだ道半ば。皆様のアイディアと、
ご協力が必要です。今後ともよろしくお願いいたします。
令和二年 川越立門前商栄会
川越立門前商栄会